稼働3日目。
昼のピークタイムに、わたしは一旦配達を止めた。
リスタート直後の2日間は、どちらも日給13,000円を超えた。数字だけ見れば悪くない。ただ、注文が増える時間になると落ち着かなくなり、「今のうちに走らなければ損をする」と、知らないうちに急かされていた。
わたしにとって大切なことは「今日どれだけ稼げるか」よりも、「今日どれだけ穏やかで豊かな気持ちでいられるか」だ。
だから今日は、その流れから一度降りてみることにした。
スーパーで豚の塊肉を買い、自宅へ戻った。配達員が一番走る時間に、わたしはキッチンで肉を仕込んでいる。
これが今日の「凪」の実験である。
ピークタイムに、豚肉を仕込む
帰宅したのは、低温調理用の肉を仕込むためだった。
味もその効果も最高の低温調理肉だが、唯一の弱点が調理時間だ。
この肉を中心に食べる生活を続けるなら、稼働後に疲れて帰ったあとにも、すぐ食べられるように事前に準備する必要がある。
だから、事前に仕込みを行い、肉のストックを作っておくのだ。

まあ、正直料理ブログに載せるような綺麗な写真ではない。(そもそも撮り方など知らない)
ただ、このブログで残したいのは完成後のきれいな皿ではなく、この生活が実際にどう作られていたのかである。
通常ローストポークなんかは、調味液に付け込んで下味をつけるようだが、わたしは買ってきた肉をそのまま保存袋へ入れて容器へ沈める。


あとはヨーグルトメーカーに入れ、この日はテキトーに「6時間」に設定した。

これで、わたしが再び配達している間にも肉は勝手に仕上がっていく。
帰宅後にやることは、切って塩を振って食べるだけだ。
休んでいる時間を、損失にしない
仕込みを終え、ベッドへ寝転がった。
注文が増える時間に休んでいるため、当然、その間の報酬は発生しない。以前ならアプリの状況が気になり、横になっていても頭の中では稼働を続けていたと思う。
だが今日は、休んでいる時間まで「本来なら稼げた金」で計算するのをやめた。
今は肉を仕込んだ。身体も休ませている。ただ横になり「今ここ」、この瞬間を味わう。
報酬のことを忘れ、ただ一件一件の配達をゆっくり丁寧にこなす。ピークタイムという「チャンス」を無視し、自宅で低温調理肉を黙々と仕込む。
そうすると、なんとも言えない豊かさを感じることができる。
ただ、この感覚を維持することはかなり難しい。心配性、完璧主義の自分は特に。
この考え方・スタンスを再確認するうえで、何度か読み返している本がある。

今ここに集中すれば、人生はうまくいく!
使い切ってから休むのをやめる
この日の稼働をしながら、電動アシスト自転車の回生充電を思い出した。
走行中の減速を利用して、少しずつバッテリーへ電気を戻す仕組みである。
もちろん、休憩しながら働けば肉体が文字どおり自動充電されるわけではない。ただ、体力を完全に使い切ってから一日まとめて回復させるより、出力を落とし、途中で休み、食事の準備も挟みながら走る方が、わたしの場合長く動ける。
稼働と休息を別々の日へ分けず、一日の中で交互に入れる。
財布の数字を増やしながら、身体を極端に疲弊させない。
「走りながら自動充電する」という表現は、この感覚にはかなり近かった。
ゆっくり走っても、遅延率は変わらなかった
ただし、自分が楽なら何でもいいわけではない。
ゆっくり走りすぎて配達が遅れ、仕事として成立しなくなれば、このやり方は続けられない。そこで配達アプリの管理画面を開き、遅延率を確認した。
結果は、変化なしだった。
わたしの感覚では、かなり力を抜いて走っている。それでも、この時点ではシステム上の予定時間に収まっていた。
ここで分かったのは、急がなければ間に合わない場面と、自分が勝手に急いでいるだけの場面は同じではないということだ。
安全に走り、決められた時間へ収まっているなら、常に全力でペダルを踏む必要はない。少なくとも今日のわたしには、まだ速度を落とせる余地があった。
今日の報酬は、まだ分からない
この記事を書いている時点では、今日いくらになるか分からない。
昼のピークタイムを捨て、自宅で肉を仕込み、ベッドで休んだ。それでも、最低限の生活を維持するために必要な「9,000円」を超えるなら、生活費を作りながら身体を壊さない稼働の形が、少し見えてくる。
超えなければ、どこを変えるか考えればいい。
大切なのは、苦しさに耐えた時間ではなく、この生活を無理せず何日続けられるか、である。一日だけ最大まで稼ぎ、翌日動けなくなるなら、今のわたしには意味がない。
冷えた部屋で休み、身体はまた動ける状態になった。
ヨーグルトメーカーの中では、夜に食べる肉が静かに仕上がっていっている。
では、もう一度走ってくる。
その後、もう一度稼働へ戻った。この日の最終的な報酬と、その後に起きたことは、同じ日の後半の記録に続く。


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